ケージレスで24時間営業になった訳
━━━ケージレスで24時間営業になった訳 その1…
- アメリカでペットグルーミングの経験をし、帰国後トリミングを中心としたペットケアショップに勤務。ここでは、トリミングの他、カフェや雑貨販売、そしてペットホテルをサービスにしていた。このペットホテルでお預かりしている犬たちは、約0.8m×1m、広い部屋では間口2m以上で、大型犬が足を伸ばしても充分に寝る事が出来る広めの個室が用意されていた。各部屋にはWEBカメラが設置されていて、飼い主さんはネット環境さえ確保出来れば、海外からでも愛犬の様子を見る事が出来る、当時にしては「最先端のペットホテル」とTVやラジオなど多くのメディアにも紹介されたほどの施設だった。営業は午後19時まで、掃除が終わればスタッフは全員帰宅する。気になる犬をお預かりする日は、帰宅後に自宅からWEBカメラを使って様子を見ることが出来た。しかし…この最先端のサービスが24時間営業のキッカケになる。
トイプードルを約0.8m×1mの個室でお預かりした日、お客さまと同じように自宅からWEBカメラにアクセスすると、個室の扉をずっと見つめるトイプードルがモニターに写っていた。- またある日、とっても元気なラブラドールレトリバーをお預かりした時、その犬は休む事もなく扉をカリカリ叩き続けている。
- 一番慌てたのは、ゴールデンレトリバーが、頑丈に作られているはずの個室の扉を破壊して飛び出した瞬間を偶然見たときだった。寂しさのあまり、店内を徘徊して、商品などを散らかしまくっていた。静かに寝ている高齢のダックスフンドを見て、具合が悪く
- 倒れているのかも…と心配になる事もあった。
- こうして、自宅からWEBカメラにアクセスする度に切ない気持ちになる。店の鍵を任されていたボクは夜中に何度も店に戻る事があった。
- 様子を見に行くと、犬たちはカメラを通してみる姿とは全く違う顔になる。扉を開けるとみんなボクの足元にやって来て、ほとんどの犬は眠りにつく。ただ…夜中に店内にいる事を許されている訳ではない。ボクは自宅に帰らなければならない。そして…自宅でまたカメラを覗く事を繰り返す。この非効率な状態を解消するには、パソコンや本など、自宅にあるものを持込んで朝まで犬たちと過ごす事が出来る環境を作ること。実は…自宅から店を往復することを考えれば、犬を預かるにはこれが一番楽だと考えるようになった。
━━━ケージレスで24時間営業になった訳 その2…
ある日、間口2m以上の部屋の中で声がつぶれるのではないか心配になるほど吠え続けるワイマラナーをお預かりする事になった。スタッフは全員トリマーで日中はトリミングに集中し、そのワイマラナーを相手にする時間はなく、むしろ雑音と感じていた。スタッフ全員が、そのワイマラナーの受け入れを快く思わず、店長のボクも例外ではなかった。営業時間は午後7時まで、スタッフは遅くても8時には退出する事になっていたが、ワイマラナーをお預かりしている日、本社で店長会議があった。その会議が遅くなり、閉店までに店に戻る事が出来なかった。お店の鍵を持って会議に行ってしまい、一人のスタッフに残ってもらった。本社から店まで車で約70分、その間あのワイマラナーと過ごすのは大変だろうと、そのスタッフに申し訳ない気持ちで急いで車を飛ばした。店に到着してすぐ裏の勝手口を開けると…一人のスタッフが軍手を丸めてワイマラナーと遊んでいる姿があった。今まで見たこともない嬉しそうな顔をするワイマラナーを見て、一瞬にしてワイマラナーに対する感情が変わった。 カワイイ!… ボクはこの姿をスタッフ全員に見せたいと思った。それと同時に、このワイマラナーの態度は、ボク等の振る舞いによってこんなにまで違うのだという事を、軍手で遊ぶスタッフに教えてもらった瞬間だった。- ペットホテルのスタッフは、トリミングなど他の任務があると、吠える犬はうるさい犬と感じてしまう瞬間がある。
- それを解決するには…24時間、犬と一緒に過ごすことだけを任務にすることだった…
━━━ケージレスで24時間営業になった訳 その3…
犬たちと一緒に過ごす為に一番大切な情報は、飼い主さんから…。- I.セターのティック♂とタック♂は胴体の兄弟!生まれた日も、我が家に来た日も、食べている物も、全て同じ。
- 寝るときも…お散歩も…どんな時も行動は一緒。写真で見ると飼い主のボクでも間違えるほど顔もそっくり。
- だた、性格だけが違う。好きなモノや苦手なコトなど、それぞれの個性がある。
- I.セターの専門家でも、どんな参考書を開いても、この性格については学ぶ事が出来ない。
- それを知っているのは、飼い主さん。その情報を蓄積したものが犬たちと時間を共有する為のバイブルになる。
- ただ、飼い主さんの真似をして、自宅と同じ環境を作るより
- そのバイルブを参考にして、ボク等と孫犬の新しい関係をつくらなければ本当の安心した時間を過ごす事が出来ないと思う。
- そんな想いで孫犬たちと過ごしながらも…
- たとえ夜中であろうが飼い主さんが帰宅後も孫犬がボクと一緒に居る事を想像すると…
- 孫犬を飼い主さんに会わせる事が、より安心するのではないかと思う。
- 孫犬にとって、飼い主さんと過ごす事が一番安心する時間。
- だから…
- 夜中に眠そうな孫犬を連れて、飼い主さんの元へ帰る事ができるように…
- ボクは、孫犬のおじいちゃんとして…
- 24時間営業、夜中も送迎をすることが絶対に必要だと考えた。


